地震によって引き起こされる国土保全の長期的課題
地震の直接の災禍に比べると、地震が引き金になって進行する地形の変化はなかなか世間の耳目を集めない。しかし例えば1999年台湾集集地震、2005年パキスタン・カシミール地震、そして2007年の中国四川省のWenchuan地震(http://shake.iis.u-tokyo.ac.jp/wenchuan/)では膨大な数に及ぶ不安定な山岳地斜面から大量の土石流が発生しその後の復興に深刻な問題を投げかけている。
Kashmir地震で発生したHattian Bala土砂ダムの決壊
2005年10月8日のパキスタン・カシミール地震(M7.6 (USGS))ではAzad Jammu Kashmir州Hattian-Balaの街からジェーラム川の支流、カーリー川(Karli River)の3.5km 上流で発生した山腹崩壊によって2つの堰止湖が出現し、下流側住民にとっと深刻な脅威となった。Hattianダムと呼ばれたこの土砂ダムは次第に風化(スレーキング)が進行し、その北西部が地震から4年4か月後の2010年2月9日に決壊した。 小長井研究室ではこの土砂ダムの生成から決壊、そしてその後に至る状況を調査して科学的に貴重なデータを集約することになった.
右図はレーザーで計測された決壊前と決壊後(2010年4月)の土砂ダムの形状である。両者を比較することで、この決壊によって778万m3の土砂が流されたことがわかった。
2004年中越地震で発生した木沢トンネルの被害調査
2004年10月23日の中越地震で木沢とンエルは右図に示すようにその両側壁に斜めに並行する4本のクラックが現れ、これらを塑性ヒンジとしてトンネル南側(図面の手前側)上半部が0.5m程度東側にずれてしまった。トンネルはその断面で土圧を支える構造であるから、この破壊は極めて深刻なものと受け止められた。小長井研究室では土木学会を中核機関とする振興調整費事業(代表:小長井)の一環として新潟県長岡地域振興局と共同でこのトンネルの形状や、トンネル周りの軟岩内に発生したであろうせん断面の調査を進め復旧工事再開の可能性を判断する重要な観測データを得た。

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